上手な「アイ・コンタクト」のとり方(1)
本来、動物は人の目を見ることを嫌います。
ましてや犬は、人より目線が低く、特に体の小さな小型犬にとって、人は見上げなければならないほど大きな《巨人》のような生き物です。
その《巨人》がいつも機嫌が悪く、怒鳴ってばかりいたら?
犬は人間に対し恐怖を感じ、もはや《怪獣》にしか見えなくなってしまいます!
これでは、良好な信頼関係を築くことは難しいですよね(苦笑)
犬の保護者である飼い主は常に冷静で落ちつき、どんなときも寛大でなければなりません。
それは、犬が悪い行いをしても叱らないということではなく、必要以上に大声を出したり、犬を脅かさない努力をしなければならないという意味です。
いつもピリピリとイラついて、犬が粗相をするたび、怒る、怒鳴る、叩く。
そして犬は、飼い主の、顔色を窺いながらビクビクして過ごす。
これでは「犬らしい」性格や、個性を殺してしまいかねません。
「アジリティー・ドッグ」どころではありませんよね・・・?
犬は飼い主が、なぜ怒っているのか理解することはできません。
「自分が失敗したことが飼い主を怒らせている。それなら失敗しないようにしよう」
それが犬の全ての動作に影響を及ぼし、本来出来ることですら委縮して失敗してしまう。
次に犬は、その失敗をどうにか誤魔化そうと躍起になります。
「どうすれば叱られない?どうすれば褒めてくれる?・・・ごめんなさい」
そうしているうちに犬は、自分で考えることを止めてしまします。
「自主性の欠落」です。
やがて犬は、飼い主のことを信頼できなくなり、目を合わせることもなくなるのです。
上手な「アイ・コンタクト」のとり方(2)
犬と「アイ・コンタクト」をとることは、実は「アジリティー・ドッグトレーニング」を行うにあたり、大いに関係します。
目も合わせない犬と、息の合った演技を完璧にこなすことは、不可能に近いものです。
「アイ・コンタクト」をとるということは、犬が飼い主、または「ハンドラ-」を頼り、信頼している何よりの証拠です。
飼い主によって自信を無くした犬が、怖々と飼い主の顔色を窺い、ご機嫌を取ろうとするのとでは、まるで意味が違います。
良好な「アイ・コンタクト」をとっているときの犬の気持ちを代弁すると、こんな感じでしょうか・・・。
「次はなにをすればいい?」
「上手に出来たら褒めてくれる?」
瞳はキラキラと輝き、指示される喜びに、犬は嬉々として走り回ります。 犬の表情が目に浮かびますね(笑)
また、トレーニングをする際、犬に合図を送るときや、早くてリズミカルな動きを犬にさせたいときは、おやつで釣る方法や、道具を使う方法もあります。
上手な「アイ・コンタクト」のとり方(3)
犬をトレーニングするときや、犬の注意を引きたいときは「クリッカー」と呼ばれる道具が効果的です。
これは、片手に容易に収まるほど小さく、押すと「カチッ」と音がする、トレーニング用のものです。
通常「訓練犬」と呼ばれる、特別な訓練を施す犬には使わない道具ですが、家庭犬のしつけやトレーニングに使うには問題ありません。
犬は小さな音にこそ敏感に反応するため、犬の注意を引くには、大いに効果的なのです。
ただし、本番の「競技会」では、手に何も持ってはいけません。
トレーニングの最初に、おやつや道具を使うとしても、音を鳴らす手法を変える・・・例えば、短い口笛にする、舌を鳴らすなどして、少しづつ切り替えるようにするといいでしょう。
その際、動きのポイントごとに、口笛の音を変える、舌を鳴らす回数を変える、などして、変化をつける工夫も忘れてはいけません。
それを合図に犬は動きます。
まずは「ハンドラ-」が完璧に、指示を出す「合図」を覚えましょう。