「呼び戻し」ちゃんと出来てる?(1)

犬は、体を使って伸び伸びと走り回る遊びが大好きです。

「呼び戻し」を完璧なものにした犬は、リードから完全に解放され、自由に広いグラウンドを走り回ることができます。

邪魔なリードを外し、存分に動ける自由・・・なんて素晴らしい感覚でしょう(笑)

この楽しみを知った犬は、大好きな飼い主を喜ばせたいという思いと、上手に出来たら、またリードを外してもらえるという期待から、ますます張り切り、トレーニングに没頭します。

しかし、この感覚を味わわせてあげるためには、トレーニングの初歩である「呼び戻し」が出来るようにしておかなければなりません。

この「呼び戻し」が完全じゃない状態で犬を離せば・・・どうなるかは想像に難くないでしょう(苦笑)

「犬のしつけ」をテーマにした多くの本では、犬は飼い主が腰を落とし「おいで」と手を広げれば、無条件で走り寄ってくるように記しています。

しかしこれは《きちんとした信頼関係が出来ているのが前提》の話です。

犬にも心があり、感情があります。

嬉しい、楽しいと感じることはもちろん、悲しみや怒りを抱くこともあります。

その中には「嫌だな」「怖いな」、「やりたくないな」「ちょっと待って!」などと、弱腰になる局面も当然あるわけです。

「呼び戻し」ちゃんと出来てる?(2)

例えば、犬がのんびりと風の匂いを嗅いでいると、ふと近くで気になる匂いを捉えた。

「なんだろう・・・?」と、その正体を確かめようと夢中になっているとき、飼い主に急に呼ばれた。

「行かなきゃ!・・・でも、ちょっと待って。これ、なに?」

「おーい!」

「うん、分かってる。いま行くけど、待って待って・・・これ、なんだろう?」

「こらぁ!!」

「もう!・・・いいよ、いま行くよ!ママのばか!」

・・・これでは犬が可愛そうです(笑)

もし自分が犬の立場だったら、やっぱり嫌ですよね?

犬との信頼関係を確固たるものにしたいなら、犬が何かに夢中になっているときは名前を呼ばない、声を掛けないことが基本です。

犬は飼い主に名前を呼ばれたり、声を掛けられたりすると、無条件で「行かなきゃ!」という衝動に駆られます。

ご飯を食べているとき、遊びに夢中になっているとき。

自分が気になる対象を犠牲にしてまで、「こっちに来い!」と命じる飼い主・・・。

とても、安心して全てを託せる《信頼関係》を築けるとは言い難いのです。

犬の身になって1度立ち止まり、自分が同じことをされたら、と考えてみることも、ときには必要なのです。

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